中学校給食の令和4年度検討状況と、全員給食化について。

2022-08-26 23:13:59 | カテゴリ:活動報告


横浜市の中学校給食は現在選択制ですが、令和4年度は全員で食べる給食(全員給食、全員喫食)実現に向けて、検討が進められています。令和4年度予算案が公表されたころには、「予算化されていない」というミスリードもなされましたが、専任体制が敷かれてしっかりと検討が進められてきました。

横浜市中学校給食

※1:報告資料の冒頭の文章

本日(8月26日)開催された「こども青少年・教育委員会」において、「今後の中学校給食の在り方の検討状況について」が報告されました。報告資料の入口から(※1)、「全生徒・教職員分(約83,000 食)の供給体制の確保に向けた検討を進めています。」とあるように、全員で食べられる手法についての検討や、生徒と保護者へのアンケート調査、事業者へのサウンディグ調査が行われ、資料にまとめられています。(※こちらから資料をご覧いただけますPDF

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※2:実施方式別の施設整備費等の長期推計(事務局試算)

手法については、自校調理方式、センター方式、デリバリー方式、ミックス方式などが検討され、それぞれ必要な費用、提供までの時間、課題などが整理されています。現時点で実現可能性が最も高いとされ、予算も低く抑えられ、提供開始まで時間が短い(3年程度)のが、現行のデリバリー方式の拡充による100%の提供体制です(※2)。

横浜市中学校給食

※3:中学校給食を利用しなかった理由

アンケートでは、中学校給食を利用しなかった理由も調査されています(※3)。保護者が中学校給食を利用しなかった理由は、①給食を食べて欲しいが子どもが利用したくないと言っているから、②取りに行くのが面倒と聞いたから、③子どもが家の弁当等が好きだから、という項目がTOP3で、給食を選びたいけれど子どもの気持ちを優先する親心を感じる内容です。一方生徒は、①家庭弁当を用意してくれるから、②家の弁当等が好きだから、③おいしくなさそうだから、という保護者の回答と裏表な内容と、実際に食べたことがないままの評価が、TOP3となっています。

横浜市中学校給食

※4:中学校給食を利用した理由

中学校給食を利用した理由としては(※4)、保護者は①弁当作りが負担だから、②便利だから、③栄養バランスが良いから、生徒は①家庭弁当を作る負担を減らしたいから、②便利だから、③持ち物が軽くなるから、がTOP3で、生徒の保護者を思う気持ちも表れています。

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※5:給食を利用しなかった理由(生徒喫食率別)

クロス集計の結果では、給食を利用しなかった理由について、生徒喫食率別の分析もなされています(※5)。喫食率が20%未満の学校では「取りに行くのが面倒だから(26%)」「周りが食べていないから(13%)」という回答担っているのに対して、喫食率が40%以上の学校では「取りに行くのが面倒だから(15%)」「周りが食べていないから(3%)」となっていて、10 ポイント以上の開きがあることが示されています。喫食率には、利用しやすい環境かどうかが関係していることがわかります。

中学校給食の全員給食化を何としても実現したい

私は初当選以来この12年間、全員で食べる中学校給食の実現(全員給食)を徹底的に求め、調査や提案、質疑を行ってきました。共働き家庭やひとり親家庭が増えて、お弁当を毎日用意することが働きながら子育てをする世帯を中心に課題となっています。また、経済格差・貧困問題、虐待等によって家庭で十分な食事を取れない子どもたちにとって、学校給食が唯一の栄養ある食事の機会になっていて、如何にセーフティーネットとして学校給食を機能させ、学校給食を通じて子どもたちの成長を守るかということも、課題となってきました。

「女性の社会進出」は国をはじめ、政策として推進されてきたことです。経済格差や貧困問題に向き合い、解消するのも政治の仕事です。どういった社会像を目指すのかを政治が示し、家庭環境が変化している以上、中学校給食の全員給食化を実施するのは政治の責任でもあると考え、実現を目指してきました。お弁当作りの平均時間は21.1分という数字もあり(出典)、これを年間200日、3年間で計算すると、約210時間が1人の子どものお弁当づくりに3年間で充てられていることが想定されます。この時間を解放できれば、睡眠や子どもとのコミュニケーション、自己投資などに充てられ、QOLの向上に繋げられることも期待できます。

実際の全員給食化に向けた方向性については、近々公表される次期中期4カ年計画素案において示される予定となっています。昨年当選した山中市長も、選挙で中学校給食の全員実施を訴えてきました。長年に渡って、多くの市民の方からご要望をいただいてきた中学校給食の全員喫食化ですので、次期中期4カ年計画で道筋を示して、着実に実現してほしいと思います。

参考リンク:

(1)川崎市の中学校給食視察報告
(2)大阪市の中学校給食視察報告
(3)これまでの中学校給食に関するブログ記事

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